Bray me New Mini Album [ Grace Note ] Code: PZCJ-10 / Release: 2019.10.16.wed / Price: 1,800yen(+tax)

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Bray me New Mini Album [ Grace Note ] Code: PZCJ-10 / Release: 2019.10.16.wed / Price: 1,800yen(+tax)

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GRACE

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Bray me [Grace Note]発売記念インストアイベント開催決定!

2019.10.27 (Sun) 12:00~

タワーレコード名古屋パルコ店
店内イベントスペース

2019.10.27 (Sun) 18:00~

タワーレコード難波店
5Fイベントスペース

2019.11.2 (Sat) 12:00~

タワーレコード新宿店
7Fイベントスペース

2019.11.9 (Sat) 18:00~

タワーレコード静岡店
店内イベントスペース

TOUR

Bray me 'Grace Note' Release Tour

2019

  • 11/16(sat)東京 下北沢 Daisy Bar
  • 11/21(thu)石川 金沢 vanvanV4
  • 11/22(fri)新潟 GOLDEN PIGS BLACK STAGE
  • 11/26(tue)宮城 仙台 MACANA
  • 12/12(thu)岐阜 柳ヶ瀬 Ants
  • 12/13(fri)大阪 心斎橋 BRONZE

2020

  • 1/9(thu)千葉 千葉 LOOK
  • 1/22(wed)兵庫 神戸 太陽と虎
  • 1/23(thu)福岡 福岡 Queblick
  • 1/25(sat)愛媛 松山 Double-u Studio
  • 1/26(sun)香川 高松 sound space RIZIN’
  • 2/2(sun)千葉 稲毛 K’S DREAM
  • 2/8(sat)東京 町田 CLASSIX
  • 2/21(fri)京都 京都 MUSE
  • 2/22(sat)長野 伊那 GRAMHOUSE
  • 2/23(sun)山梨 甲府 KAZOO HALL
  • 3/5(thu)神奈川 横浜 F.A.D YOKOHAMA
  • 3/7(sat)茨城 つくば PARKDINER
  • 3/21(sat)静岡 静岡 UMBER
  • 4/11(sat)愛知 名古屋 R.A.D
  • 4/12(sun)大阪 心斎橋 Live House Pangea
  • 4/25(sat)東京 渋谷 TSUTAYA O-Crest

Interview

Bray me “Grace Note” Release Interview

-- 新作『Grace Note』が完成しました。バンドとして大きく踏み出す一歩になると思いますが、今の率直な気持ちはいかがですか?

こたに 「やべえヤツ、できたな」って思いました。

一同 ハハハハ(笑)。

アンリ バンドとして、これからだなとは思うんですけど、一旦、ここは「やべえヤツ、できたな」と(笑)。

ありさ いいモノができたからこそ、ワクワクとドキドキがありますね。やべえヤツができたんで(笑)。

-- ハハハハ(笑)。SAKKOさんは今年7月に正式加入したわけですから、そこから3ヶ月後にはリリースという怒涛の展開ですよね。

SAKKO ホントにそうですね。私にとって、ここからが(Bray meの)始まりなので、わりとお客さんに近い目線で見れてるのかなっていう気はしますけど、その観点からしても「やべえヤツ、できたな」って思います(笑)。

-- 近年は会場限定で作品を発表しましたよね。こういった流通作品になると、より気合いも入ったのかなと。

こたに どうなんだろう……どれも作品として違いはないけど、今回はここで出会う人も多いだろうから、Bray meの名刺みたいな1枚を作ろうとは考えましたね。

-- では、Bray meのそもそもについて伺っていきますが、もともとはこたにさんとありささんが一緒にやっていたバンドが原点なんですよね。

こたに 中3で部活を引退した後、やることもなくなったし、ありさを含めた同級生4人でバンドを組んだのがキッカケでしたね。

-- 12年からBray meとして活動を開始しましたけど、音楽的には今と比べてどうですか? 当時の作品を聴くと、歌謡曲の色が強いのかなという印象も受けましたけど。

こたに もともと、歌謡曲は好きなんですけど、当時は何もわかってない状態だったんですよ。コードだって、今もわかんないっちゃわかんないですけど、ギターは強く弾けば歪むと思ってたぐらいだし、頑張ればどうにかなるみたいな感じだったと思います(笑)。

-- ただ、そこから定期的に作品を発表していきましたよね。13年には1stシングル『onestage』を、14年にはそこに2曲加えたミニアルバム『onestage+』を全国流通作品としてリリース。その後も止まらず、15年にはシングルを3作品、16年にはミニアルバム『FINE LATER』を発表。情報を追うと、かなり順調にキャリアを重ねた印象もあります。

こたに なんかこう、すぐBUMP OF CHICKENになれると思ってバンドを始めたんで(笑)、順調だとは全然思ってなかったけど、バンドはめちゃめちゃ楽しかったです。

ありさ バンドを始めた当初は、バンドのバの字も知らない状態だったんです。で、(こたにから)声をかけてもらって、受験勉強だけになるのも嫌だったし、面白そうという気持ちで始めたことが、そのまま続いてたというか。作品をたくさん発表してたのも、「曲ができたから聴いてもらいたい! 早く録ろう!」みたいな気持ちだけ。先のことを考えてるようで、その瞬間だけで駆け抜けてた感はありましたね。

-- 16年に当時のギタリストが脱退し、3人編成のバンドとして地元の静岡から東京へ拠点を移しました。

こたに 同級生で組んだバンドだったし、誰かがやめる時点でバンドもやめようと考えてたんです。でも、実際にそうなったとき、またまだやりたいことがあると気づいたし、歌いたいこともある。そう思って、バンドを続けました。

ありさ バンドは楽しかったし、こたにの歌が好きというのが大きかったんですけど、いろんな地方で出会った人たちの存在も大きくて。そういう仲間の顔も浮かぶようになってましたね。

-- ただ、17年に2曲入りデモ『背中合わせ/眠れる夜に』、2曲入りCD『曖昧な日々だ/リンク』を発表するものの、当時のベーシストが脱退という。

こたに (メンバーが)半分になっちゃいました(笑)。

-- しかし、足を止めることなく、そのまま2人でライヴもやるんですよね。

こたに 3人で東京へ来て「やるしかない!」と思ってたけど、(当時のベーシストの)モチベーションが下がったとかじゃなくて、プツッと切れちゃって。でも、その3日後ぐらいにライヴがあって、弾き語りでやることも考えたんですけど、「いや、バンドだな」と思い、ドラムとエレキギターの2ピースで2本やりました。

-- 昔のストレイテナーみたいなスタイル。

こたに そうなんですよ。「ストレイテナーもやってた!」と思い、当日はPAさんに「すいません! どうにかしてください!」と頼んで、なんとか乗り切った感じでしたね。

-- もし、アンリさんとSAKKOさんが同じような状況になった場合、どうします?

SAKKO やっぱり、ライヴはやる方向で考えますね。

こたに みんな、やべえヤツだ(笑)。

アンリ 実際、私はひとりになったことがあって。地元の長野でやってた4人編成のバンドから、最初にギターヴォーカルが抜けて、残った3人でなんとか歌ったりしてたら、決まってたライヴの3週間ぐらい前にメンバーが2人やめたんです。そのときは、私ひとりで弾き語りをしに行きました。

-- 決して、ライヴは飛ばさないんですね。

アンリ 飛ばさないです。

SAKKO 実は、そのライヴで私とアンリは出会ったりもしてて。だから、そこでアンリが飛ばしてたら、私もBray meに入ってないかもしれないっていう。

こたに やっぱり、(ライヴを)やりたいという気持ちがあるんなら、無理やりにでもやりますよね。

-- バンドの流れに話を戻すと、その後はサポートメンバーを加えながらライヴをやっていきました。

こたに 2人でのライヴを終えた直後は「すげえライヴをした!」みたいな感じだったんですけど、後で映像を確認したら「やっぱり、ベースは必要だね」となりました(笑)。

-- そんな中で出会ったのがアンリさんと前ベーシスト。

こたに アンリのバンドとは対バンもしてて、やっぱり4ピースのバンドがやりたい……いや、そう思うより先に、アンリと電話してたのかな。

アンリ たしか、当時のベーシストがやめた日ぐらいに電話がきて。

こたに なんか、アンリの顔がふと浮かんで「この人とバンドをやりたい」と思ったんですよ。で、ありさにもそう伝えて。

-- アンリさんはBray meに対して、どんなイメージを持ってましたか?

アンリ まっすぐなイメージがあったし、カッコいいバンドだなと思ってました。ただ、ちょっと暗いなとは感じてて(笑)。

こたに めっちゃ暗かった(笑)。キャッキャできてない人種でしたね。そう見せたいと考えてたわけでもなく、ただ一生懸命にやってたら、そうなってました(笑)。

-- 加入しようと思った理由としては?

アンリ こたにとは打ち上げでもよく話してたし。あと、同じようにメンバーが減ってたんで(笑)、心境的に似てるところがあったと思うんです。当時、私は歌ってたりもしたけど、もともとはリードギターだったので、ギターに専念できる形がいいなとも考えてて。地元で弾き語りをちんたらやってるよりは、東京へ出て、バンドをしっかりやった方が面白いと感じたんですよね。

-- しかし、18年になり4人編成へ戻ったものの、前ベーシストが脱退しました。

こたに 彼女はアンリと同じタイミングで加入してくれたんですけど、「バンドよりもやりたいことができた。結婚する。」と。もちろん、一緒にやりたい気持ちはあったけど、彼女が選んだ道というか。

-- ただ、3曲入りCD『1st』を出したりもして、バンドとして生まれ変わったスタートを切ったみたいなところもあったわけじゃないですか。

こたに たしかに、新しいバンドを始めたような気持ちにもなって『1st』を作ったんですけど、モチベーションは落ちなかったですね。自分の中で得たモノが多い期間にもなったから。

ありさ 自分にやりたいことがあるように、他の人にだってそれはあるし。彼女の幸せを願いつつ、自分のやりたいことを改めて噛みしめる、見つめ直す機会が与えられたと考えましたね。

アンリ その4人での活動は半年ぐらいしかなかったけど、長さは関係なく、めちゃくちゃ濃厚な時間だったんです。その半年のおかげで今後のBray meはやばいことになると感じるぐらい、(バンドに)いい影響を与えた人だったので、単純に「ありがとう」という想いが大きかったですね。

-- そして、今年2月からSAKKOさんがサポートとして参加するようになりました。これはアンリさんが声をかけたんですか?

SAKKO いや、いちばん最初は私からアンリに連絡したんですよ。(Bray meの)ベースが脱退することを知り、アンリのバンドがやばいと思って、「手伝えることがあったら、いつでも言ってね」と。そこからわりとすぐに「(サポートを)お願いしたい」と言ってもらったんですけど、やっていたONEPERCENTRESのスケジュールの都合もあって、2月からサポートするようになりました。

-- シンプルに仲間のバンドマンを助けることができればという気持ちだったんですね。

SAKKO 「何かできるのであれば」というアンパンマンみたいな気持ちでした(笑)。

一同 ハハハハ(笑)。

アンリ 私としては、お願いをした理由として、SAKKOがどんなベーシストなのか知っていたし、「Bray meでやってるのを観てみたいな」という好奇心もありましたね。

-- そこから正式メンバーにもなるわけですけど、当初から感触がよかった?

SAKKO 1本目を終えて、「またやりたい」とすぐ伝えるぐらい楽しかったんですけど、探り探りな部分もありました。実は他のバンドをサポートすること自体、私は初めてだったんです。それこそ、バンドもワンパ(ONEPERCENTRES)しかやったことがなかったし。

-- そう考えると、結構なチャレンジだったんですね。

SAKKO 「たぶん、できるだろう」っていう謎の自信があったんですよ(笑)。

こたに これはやべえヤツだ(笑)。でも、ライヴを1本やってみて、すぐに(SAKKOが)いいなと思って。メンバーとも「もうバンドをやってるけど、気持ちを伝えてみよう」となりました。

アンリ ライヴの感じもよかったし、友達に撮ってもらった写真を見てもサポート感がなくて、凄くバンドだなと思えたんです。

-- では、すぐに正式加入の話にもなったんでしょうか?

SAKKO 期間で言ったら、そういう話まで凄く短かったと思います。ただ、すぐには決められなくて……最初はどちらのバンドも続ける方法を探したんですよ。もちろん、(ONEPERCENTRESの)メンバーにも相談したし。ただ、両方をしっかり続けていくというのは難しいじゃないですか。そう考えたとき、Bray meでプレイしてみて楽しかったし、すぐにでもやりたい気持ちになったけど、そのときはメンバーのこともちゃんとわかってなかったし、音楽性も変わってくるわけで。私はずっと続けられるバンドをやりたいから、ホントに悩みましたね。

-- そういった中で決断した理由は?

SAKKO 最終的に後押ししたのは、この3人とやりたいというシンプルな気持ちです。(サポートした)1回目のライヴの感触も印象もよかったし、これを断っちゃたら、後悔につながるような気がしたんですよね。

-- SAKKOさんは、正式加入した1本目のライヴの帰り道、機材車を運転しながら「なんでか分かんないけど、始まったんだなあって思った」とブログに書いてましたね。凄くバンドらしい、いいエピソードだと思いましたよ。

SAKKO ありがとうございます(笑)。

こたに 楽しいのはもちろんなんですけど、そのタイミングでめちゃめちゃ気も引き締まりましたね。

Vol.02へ続く
Interview By ヤコウリュウジ

-- この4人で歩み始めて、それぞれルーツはバラバラそうなイメージがありますが、音楽的なリンクはすんなりといきましたか?

こたに たしかにバラバラなんですけど、それが逆によかったのかなと凄く思ってて。私が持ってないモノを3人が持ってるんですよ。曲作りに関しても、私が全部を考えるんじゃなくて、みんなでアレンジをしてて。

-- バンドへこたにさんが持ち込むのはメロディーと歌詞ぐらい?

こたに あと、コードですね。アレンジを考えるときに「こうやってみたい」ぐらいはメンバーに伝えるんですけど、みんなで合わせてくと凄くいいモノになる。だから、感覚的に苦労するようなことはなかったですね。

-- ちょっとルーツをおさらいしたいんですけど、こたにさんは先ほどBUMP OF CHICKENの名前を挙げてましたよね。

こたに いちばん最初は、BUMP OF CHICKEN、ASIAN KUNG-FU GENERATION、ELLEGARDENとか、あのへんを聴いてて。そこからもっと掘り下げていって、THE BeatlesやThe Who。サザンロックが好きだなと感じて、Lynyrd Skynyrdとかも聴くようになりました。

ありさ 私は誰かに教えてもらうことが多くて、最初はこたにと同じようなところを聴いてましたね。なんかこう、具体的に話すのが難しいというか……音楽的要素がどうこうよりも、私は直感派なんですよ(笑)。提示されて拒むようなことはしないんですけど、好きなモノは好きだし、何も思わないモノは思わないんです。バンドをやっていく上で、私にはないモノを3人は持ってるから、ありがたいというか嬉しいというか。(ルーツが)バラバラなのがいいなと思ってます。

アンリ みんなが知ってるようなバンドだと、Red Hot Chili PeppersやNirvanaが好きなんですけど、このバンドが死ぬほど好きみたいなのは正直いなくて。高校生になってバンドをやり始めたころ、ちょうど地元のライヴハウスにツアーバンドが来るようになったので、そういったバンドを好きになることは多かったですね。

-- 実際に観てた身近なバンドから刺激や影響を受けるような。

アンリ 最初は「県外から来るバンド=カッコいい」みたいな時期もあったんですけど、観ていくうちに「ショボいバンドはショボいな」と思いつつ(笑)、SOUL-D!やTHE HORIES、Wash?やBlieANなどのライヴバンドがどんどん好きになっていきました。

SAKKO スタートはELLEGARDENとかで、邦楽ばっかりでしたね。そこから東京事変とかも聴くようになり、ワンパに入って、WeezerとかFoo Fightersとかも聴いて。

アンリ あ〜、そのへんいいね〜!

SAKKO 自分の中で「このジャンルが好き」みたいなのはあんまりないんですけど、メロディーがいいと思うバンドをよく聴いてるかなとは思ってますね。

-- みなさん、キャラクターは違いますが、ルーツ的に重なるところは重なっているんですね。

こたに そうですね。だからこそ、バラバラだけど、そういうところでまとまっていて、なんかいい感じになってるんだと思います。

-- では、新作についても話を聞いていきますが、正式にこの4人になって、そういった目標へ向かっていったんでしょうか?

こたに SAKKOが入る前から、新たな作品についての話はバンド内でしてましたね。ただ、そこが何かというのが定まっていたわけでもなく、この4人のいろんなモノが重なって、進んでいったと感じてます。

-- 今回、Jun Gray Recordsからのリリースになりましたが、どういったキッカケがあったんでしょうか?

こたに それがですね……最初の接点は、Jun Gray Recordsのコンピ(『And Your Birds Can Sing』)に誘ってもらったんですけど、よくわかんなかったし、なんだか忙しくて断っちゃったことなんですよ(笑)。(レーベルを主宰する)Junさんに断りの電話をしたときもすげえ(声が)しゃがれてて「めちゃめちゃ怖い人だ!」と感じてたり。

-- でも、そのレーベルからリリースをすることになるですから、面白いもんですね。

こたに そうなんですよね(笑)。ただ、そこから新しい作品を作れば、全部ではなかったですけど、Junさんには送ったりもして、感想も伝えてくれたり。そんなことが続き、私たちも静岡から上京し、メンバーが抜けたり入ったりする中、昨年6月に初めて東京で企画をやったんです。とにかくいろんな人に観て欲しいから、企画の前日だったけど、Junさんにも連絡をしたら来てくれて。絶対に来ないだろうと思ってたんですけど(笑)。

一同 ハハハハ(笑)。

-- 誘ってるんだから、来ないと思わないでくださいよ(笑)。じゃあ、すぐに挨拶にも行って?

こたに いや、それまで会ったことがなかったら顔がわからなくて(笑)、ライヴ終わりにJunさんから声をかけてくれて初対面でした。で、その次の日に「ウチから(新作を)出さないか?」と言ってくれたんです。

-- じゃあ、そこで意気投合みたいな。

こたに ただ、私たちがまたここで「実際、どうなんだろう?」と渋るんですよ(笑)。そこからJunさんともいろんな話をして、関係はずっと続いて、今回のリリースにつながりました。

-- 新作の内容についてですが、こたにさんは「名刺代わりの1枚にしたかった」とお話されました。

こたに そうですね。Bray meとして名刺になる1枚、これを聴いてもらったらわかるというモノにしたかったんです。あと、もちろん新曲は絶対に入れようと思いました。

-- 既存の曲も収録されましたが、どういった観点から選んだんですか?

こたに 細かい話になっちゃうんですけど、「背中合わせ」は3人編成のデモ音源として発表していて、アンリが入っていろいろアレンジも変わったし、今ライヴでやってる「背中合わせ」の音源はなかったら、新作に収録したいなと。

ありさ あとは、メンバーそれぞれが入れたい曲をバーっと挙げていったんです。

こたに で、票が多かった曲をピックアップして、全体のバランスを考えました。

-- 新作のリリースに先行して配信もされた新曲「GRACE」は扉になる存在かと思います。改めて自分たちを知ってもらう際、取っ掛かりとして軽快でキャッチーな曲を押し出すことも多いじゃないですか。でも、「GRACE」はゆったりと響かせる曲だったりもして、この選択はちょっと驚きがあったんです。

こたに たしかに、私も新作に向けて、テンポが速くてわかりやすくカッコいい曲を新しく作ろうと思ってたんです。で、実際に作ってもいて。そんなとき、休憩がてらに生まれた曲が「GRACE」です。曲を作ってるときに「これがリード曲になる」みたいなことは気にしてないんですけど、ホントにポッと出てきたこの曲をメンバーに聴かせたら「めっちゃいいじゃん!」となったんです。あと、ずっと私たちのことをサポートしてくれてる大月さん(UNLIMITS)からもいい反応があって。ただ、レコーディング直前までフワフワしたところもあったんです。

-- どういったところが気になってたんですか?

こたに さっきも言ったように、ポッと出てきたモノだったし、わかりやすく「頑張れ!」みたいなメッセージソングではないじゃないですか。わりと個人的な曲というか。

-- 誰しもが抱えるモノだとは思いますけど、大切な母への想いを歌い上げた曲ですよね。

こたに そうなんです。そんな感触だったんですけど、レコーディングの1週間前ぐらいにメロディーを付け加えて仕上げたら、曲として定まったというか。ちゃんと自分の中でもリード曲になったんですよね。

-- この「GRACE」は、今のBray meとして押し出すべきという感覚がバンドにはあるんでしょうか?

ありさ そうですね。たしかに、今こたにが言ったように迷ってはいたんです。でも、例えば頑張れということにもいろんな表現方法があるじゃないですか。どストレートに「頑張れ!」と伝えることもあるし、直接は言わずとも(頑張れと)言われてるような感覚になることもある。自分たちのバンド、Bray meはどんなバンドなのかと考えて、Bray meにしかできない題材を選ぶなら「GRACE」じゃないかっていう。

-- また、こういった曲の場合、全編にわたってしみじみと聴かせることも多いですけど、装飾音という意味合いも持つ新作のタイトル『Grace Note』につながるのか、そこはかとなくキラキラした強いサビが印象的でした。

ありさ 私も初めて聴いたとき、なんか強さがあるなと感じて。母に……まあ、その形というか、自分の中でどういう存在に置き換えるのかは人それぞれだとは思うんですけど、絶対に存在する大きなモノに向けた曲だからかなと。

-- 加えて、「だから、私はこうなるんだ」という意志も綴られてますよね。感謝を伝えるだけじゃなく、自分自身の背筋を伸ばすような意味合いもあって。

こたに そう言ってもらえるとホッとします(笑)。

-- また、今のバンドによる形で収録したかったという「背中合わせ」ですが、Bray meらしい世界観が出てる曲だと思うんです。この曲に限らずですけど、励ましでもなく、慰めでもなく、全部を引っくるめて抱えながら前へ進むというメッセージにらしさを感じました。

こたに そこが伝わってるのがめちゃめちゃ嬉しいです。なんか、自分が嫌なんですよね。「頑張れよ」って言われても「いや、別におめえに言われる筋合いもねえし」みたいなところがあって(笑)。

一同 ハハハハ(笑)。

SAKKO やべえヤツだな(笑)。

こたに だって、「そうだよね。たいへんだよね」って言われても「お前にはわかんねえし」ってなるじゃないですか。

-- 「そんなことはわかってるよ」みたいな。

こたに そうなんですよ。でも、結果が欲しいんだったら、誰かに届けたいんだったら、やるしかないわけで。だから、「自分がやりたいことはなんだ?」っていう、歌ってるのは凄く当たり前のことなんです。

-- こういう世界観って、こたにさんっぽいなと思います?

SAKKO 私は歌詞を読んで「こたにはこういう性格なんだな」と思ったパターンですね。こたにって、「わかる、わかる。大丈夫だよ」みたいな感じでくるわけでもなく、押し上げてくれようとするわけでもないけど、なんかこう、ピタッときてくれるんですよ(笑)。

こたに ハハハハ(笑)。

SAKKO それが好きだなと感じてて。飾ってないっていうか、ウソを言ってない感じが凄くいいですよね。

-- 「シンデレラストーリー」は現時点における代表曲のひとつだと思いますが、この曲はアンリさんと初めて入ったスタジオでこたにさんが弾き語った曲が元だそうですね。

こたに そうでしたね。最初は「その当時に思ったことを曲にしてみた」ぐらいのニュアンスでした。もちろん、自分から出てくるモノだから、置かれてる環境のこととかになっちゃうんですけど、バンドの状況ともリンクして、こういう形になったんじゃないかなと。

-- 初めて聴いたとき、「『明日はいい日になる』という言葉に選ばれるようでいないと」という歌詞の角度がズバッと刺さってきたんです。

こたに めっちゃ皮肉的ですよね(笑)。今もそうなんですけど、そういうことが言いたかったんだろうし。そりゃ、明日は良くなって欲しいじゃないですか、みんな。「そんな明日の為に自分が何をするのか?」っていうときに必要なのが、私は音楽だと思ってて。結局、決めるのは本人だし、やるのも本人。別に音楽が直接的に作用するわけじゃないだろうけど、ケツを叩かれるような存在にはなると考えてるんです。私自身、そういうことを音楽にしてもらったから、こういった歌詞になったんですよね。

-- サビの最後で「とりあえず、愛せ」と言い切るところも印象的だなと思います。自分が好きなモノ、ずっと寄り添っていきたいモノを愛せなくなる瞬間もあるんですか?

こたに その歌詞は、これから先、自分がそうならないようにと思って書いたんです。ちゃんと自分が好きで居続けなきゃいけないっていうのは苦しいけど、いちばん楽しいし、好きなんだという純度の高いモノとして音楽をやっていきたくて。今まで、そういう(愛さなきゃいけない)感覚になったことはないけど、これからそうならないようにって。

-- ライヴでもいい存在感がありますよ。

アンリ お客さんもワーッとなりますね、この曲は。

SAKKO 歌詞にも、聴いてて伝わりやすい、憶えやすい言葉がいっぱい入ってて。イントロも「始めます!」っていう感じがありますしね。

Vol.03へ続く
Interview By ヤコウリュウジ

-- そして、ずっとBray meを聴いてきたファンが驚いたのは新曲「door」だと思うんです。これは、『GOOD LUCK』にも収録されている「大きな窓の向こう側」の後半部分の歌詞が異なるモノになっていて。昔の曲の歌詞を一部だけ変更して収録するみたいなことは結構あったりもしますけど、まったく別の曲として扱うのはかなりめずらしいと感じたんですよ。

こたに やっぱり、「大きな窓の向こう側」に関しては、発表した時点でちゃんと(曲として)完成させてあげたいんです。ただ、そこから3年後も含めた曲も書いてみたいと思って、後半部分の歌詞を改めて書いて、それが「door」になったという。だから、別の曲なんですよね。

-- そのあたりの判断はスムーズにいきましたか?

SAKKO 最初のころは、タイトル自体は一緒で、後半の歌詞を変えたいって言ってたような。

こたに そうそう、そうだった。

SAKKO そのときは別の曲というより、姉妹曲みたいな。アンサーソングじゃないけど、つながってるんだけどつながってないみたいな曲にしたいと聞いてて。「そういうつもりでやるんだったら、タイトルも変えちゃっていいかも」と思った記憶はありますね。

こたに もとを正せば「大きな窓の向こう側」を収録するという話だったんですけど、さっきも言ったようにその先を書きたいと思ったから、「door」として新作へ入れることにしたんです。

-- ちなみに、ライヴで両方の曲をやるようなこともあるんですかね?

こたに まだわからないですけど、いつかはそういうこともあるかなと思ってます。

-- また、新曲「Fight」は新作の中では唯一、力強いロックナンバーです。これもBray meの持ち味のひとつですよね。

こたに 実は、わりと「Fight」がリード曲になるもんだと思ってました。

アンリ 実際、リード曲は「GRACE」と「Fight」、この2曲のどっちにするかみたいな話もあったりして。

-- たしかに、瞬発力があってストレートに響く曲ですし、そういった候補曲になるのも頷けます。

こたに いつも歌詞がわかりにくいって言われるから(笑)、わかりやすさを重視して書いた曲ですね。

-- 歌詞を読むと、やっぱりこたにさんは「頑張れ!」とは言われたくないんですね(笑)。

こたに でも、言われたいみたいところもあるという(笑)。

一同 ハハハハ(笑)。

アンリ ツンデレじゃん(笑)。

-- ふがいない自分を奮い立たせるようなフレーズが並んでいて、こういう自然体で潔いロックなノリは凄くBray meっぽいと思うんです。女子バンドマンに話を聞くと、男に負けるかと過度に意気込んでたり、逆に女性らしさを強く求めたり、若いころはどちらかに振れることが多い。しかし、Bray meは4人ともナチュラルなんですよね。この曲はそういうところも出てるなと感じました。

こたに 昔はもちろんありましたけどね、「男ばかりの中で絶対に負けたくない」とか。でも、いつの日か、普通にバンドを、音楽をやりたいと思ったんですよ。そう考えたら、どんどんこうなっていきましたね。

-- 新作のラストを締めくくるのが「オリジナルソングのような人生を」です。この曲は映画『この街と私』の主題歌にもなりましたよね。

こたに あれはめちゃめちゃ嬉しかったです。それも普通にオフィシャルサイトへ監督さんから連絡がきて、みんなでビックリしたんですよ。

アンリ メールには「『オリジナルソングのような人生を』を聴きながら(脚本を)書きました」とも書いてあって。

こたに そこから監督さんとやり取りをさせてもらったんですけど、自分の作品に誰かのモノを加えるってことは、ホントにいいと思ったモノじゃないと絶対にやりたくないじゃないですか。だから、まず使ってもらえたことが凄く嬉しかったし、自分が観てもいい作品だと思った映画の主題歌になったということも自信になりましたね。

-- シンプルな構成の曲ですけど、Cメロで凄く歌謡色が強くなったり、間奏の後に合唱があったり。そういう他とは違うBray meらしいオリジナルなアプローチがあるのが、曲の世界観とも通じてますよね。

ありさ ライヴでもこの曲は人気があって。キャッチーなところもそうなんでしょうけど、みんな、誰しも肯定されたい部分が絶対にあるじゃないですか。対自分だったり、自分自身という枠で肯定してくれる感じがあるし、なんだか救われるというか。私もきっとそうなってると思うんですけど、ステージの奥から観てると、メンバーもそうだし、その向こう側にいるお客さんもみんな表情が柔らかくなって、本来の自分そのままでいる感じがするんです。

-- YouTubeのオフィシャルチャンネルにこの曲のライヴ映像がアップされてますけど、ホントにそういう温かいムードに満ちていて、みんな笑ってますよね。お客さんも大合唱してたり。

こたに なんか、そうなっちゃう曲なんだなっていう(笑)。まあ、笑顔になるっていうよりも、ありさが言ったように、そのままの自分でいられる曲だなと凄く思います。

ありさ 素っ裸な感じ。

こたに そうそう。

-- 11月からは新作を引っさげてリリースツアーが始まりますね。

こたに いってきます。今日、機材車も買ってきました!

ありさ 今まで乗ってたのが壊れちゃったんですよ。

-- 来年4月まで続く全22本。これは今までつながりがあった土地をピックアップしたような?

こたに 以前からのつながりと、あと大月さんがいろんなところをつなげてくれて、そういった新しい土地も結構入ってますね。

-- ツアーのスケジュールをザッと見ると、前のめりな感じも伝わってきて。例えば、来年1月に千葉LOOKでやって、その1ヶ月後に同じく千葉の稲毛K's Dreamでやるみたいな。東京みたいな大きなところなら2ヶ所やるのもまだわかるんですけど、そういう勢いもいいなと感じましたよ。

ありさ やっぱり、それぞれ思い入れのあるところにも行きたいですからね。

-- 今って、みんな効率的にやるじゃないですか。ツアーの本数も絞って、要領よくまわるみたいな。でも、そうじゃない泥臭い部分が出てるようにも思います。

こたに できることなら効率的にやりたいんですけど(笑)、そういう感じのバンドなんだと思います、自分たちは。

-- これまでを振り返ると、メンバーが2人になってもライヴを飛ばさず、「じゃあ、2人で行くか」とやってきたわけで。Bray meとして、それぐらいライヴは欠かせない存在ですよね。

こたに ライヴはとにかくやりたいですね。できるだけやりたい。

-- バンドによって、いろんな考え方があると思うんです。「内容が整うまで活動を止めて、きっちりとしたものを見せるべき」というバンドもいれば、「例えもがいてる状況だとしても、そのまま進む」というバンドもいるでしょうし。

こたに 上手いだけが音楽(の良さ)じゃないと思ってて。結局は、自分が音楽からもらったモノしか出せないと思うから。もがきながらやってるのがカッコいいとは思わないですけど、ちゃんと音楽へ真摯に向き合って、自分ができること、やりたいことは何なのかを常に考える。Bray meはそういうバンドだと思いますね。

-- SAKKOさんはサポートとして関わる前に、Bray meのライヴを観に行ったんですよね。そのときはどういった印象を受けました?

SAKKO ただ、私がそのとき観たのはベースがサポートで完全体のBray meではなかったんで、何とも言えないというか。凄くさかのぼれば、3年ぐらい前に(ONEPERCENTRESとして)対バンしてるんですけど、そのときの印象はほぼゼロなんです。アンリも言ってましたけど、とにかく(昔のBray meは)閉じてたんですよ(笑)。

一同 ハハハハ(笑)。

SAKKO で、私たちもどちらかというと閉じてて(笑)、そういったモノ同士、全然話もしなかったから。

-- 今年、2回ほどライヴを観させてもらいましたけど、あんまりそういう雰囲気が想像できないんですよね。暗いような印象はまったくないですし。

アンリ 昔と比べれば、だいぶ雰囲気は変わったと思いますね。

こたに 昨年4月にアンリと前ベーシストが入って、まずはそこからわりと変わったんじゃないかなと。

-- そこに、今はアンパンマンな気持ちを持ったSAKKOさんが加わって。

SAKKO ハハハハ(笑)。そういう存在になれたらいいなと思ってますね。

こたに 実際、そうなってますよ。

-- ただ、かと言って、凄くハッピーなバンドにも見えなくて。繰り返しになってしまいますが、その偏ってない潔さがパフォーマンスにも出てて、男性が観ても、女性が観てもカッコいいロックバンドだと感じるんだろうなと思いますね。もちろん、このツアーを経て、またバンドは進化していくんでしょうけど。

こたに どうしよう、また閉じていったら(笑)。

アンリ 逆に?(笑)。

一同 ハハハハ(笑)。

SAKKO でも、今の4人のBray meと来年4月のツアーファイナルまで終えたBray me、まったく違うモノになってるだろうなとはみんな思ってて。それは凄く楽しみですね。

-- 考えてみれば、このツアーはSAKKOさんが正式加入してからやってきた本数の何倍もありますしね。

SAKKO そうなんですよね。

-- では、どういったツアーをまわっていきたいと考えてますか?

SAKKO いい意味で、いろんな人の期待や予想を裏切りたいですね。「こうなっていくんだろうな」というのを超えて、「これがツアーをやってきたBray meです」みたいなのを提示したいし。その為にも、今まで通りのことをただやっていくんじゃなくて、挑戦していくツアーにしたいなと考えてます。

アンリ 私はみんなが元気で健康でツアーをまわれたらいいなと。

こたに でも、そこは大事だよね。

-- 身体のバランスが崩れると、心のバランスも崩れてしまいますからね。

ありさ いろんな音楽があって、いろんなバンドがいますけど、家に帰ってきたみたく、いろんな人に「やっぱ、Bray meだな」って思ってもらえるようなツアーにしたいです。

こたに 私はやべえバンドになってたいと思いますね。

ありさ わかる。上手く言葉にできない「やべえ!」みたいな。

-- 実際、凄すぎるモノに接すると言葉って出てこないですし。

こたに さっき、SAKKOが言ったように、いろんな人の想像を超えたいし、自分たち自身の想像も超えたい。もちろん、健康がいいし、ツアーを経て、「やっぱ、Bray meだな」っていうやべえバンドになっていたい……いや、なってますね。

Interview By ヤコウリュウジ