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UNLIMITS Film of The Amethyst Tour 2014(DVD) JKT画像
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code Track / 01. Sleepless Night / 02. Stay Beautiful / 03. This Is My Place / 04. What We Love, What We Hate / 05. Not Fucking Dead / 06. May The Peace Be With You / 07. 150

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UNLIMITS 'FEELING STONES TOUR'UNLIMITS 'FEELING STONES TOUR'

  • 2015.5.23(土)仙台 MACANA
  • 2015.5.24(日)高崎 SUNBURST
  • 2015.6.05(金)盛岡 the five morioka
  • 2015.6.06(土)八戸 ROXX
  • 2015.6.13(土)神戸 KOBE 太陽と虎
  • 2015.6.18(木)横浜 F.A.D YOKOHAMA
  • 2015.6.21(日)福岡 Queblick
  • 2015.6.27(土)金沢 vanvanV4
  • 2015.7.18(土)大阪 Shangri-La
  • 2015.7.19(日)名古屋 APOLLO BASE
  • 2015.7.24(金)代官山 UNIT

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DVD REVIEWDVD REVIEW

今作は、UNLIMITSがJun Gray Recordsという新たなる環境に身を置き完成させた4thフルアルバム『アメジスト』のツアーファイナルの模様を中心に構成されている。意外にもバンド史上初となるライヴDVDなのだが、あの日のライヴはたしかに何かしらの形で残すべきであろう。作品中のインタビューで清水が「ずっと越えられなかった日のライヴが、あの日のファイナルで越えれた気がしていて」とも語っているが、少なくとも僕がこれまでに観てきた中でいちばん晴れやかで清々しさを感じたライヴであった。

UNLIMITSというバンドには、和心を響かさせるメロディーも相まって、憂いや哀しさを描いているパブリックイメージがあるように思うが、じっくりと作品を聴いてみればそんなことはない。愛らしく甘美な曲もあれば、まっすぐに希望を願う曲もあり、多面的な感情表現を自然体で奏でるメンバーの姿を観て、得も言われぬ温かさすら感じたほど。

そんなライヴを目にして、ふと頭をよぎったのが2ndフルアルバム『トランキライザー』のツアーファイナルの光景だった。ツアー中に震災が起こり、「悲しい歌を歌っていいのかわからなくなった」とステージ上で涙ながらに苦悩を語る清水の姿。その葛藤を乗り越え、バンドとしてよりタフになったUNLIMITSは気合いの入りまくったライヴをしていたのがとても印象的であり、今もしっかりと心に焼き付いている。

その後、2枚のシングルを挟み、さらなる一歩を踏みだそうとした3rdフルアルバム『NeON』を経て、目指すべき光へと駈け出す想いが詰めこまれた『アメジスト』を生み出した。おそらく、『トランキライザー』のツアーでの経験があったからこそバンドとより真剣に向き合い、UNLIMITSとして成すべきことを模索した『NeON』が生まれ、まだまだ満ち足りぬと『アメジスト』へ辿り着いたのではないか。UNLIMITSはライヴでもよく"繋がり"という言葉を口にするが、近年のバンドの軌跡がすべて繋がっているからこそ、この鮮やかなライヴが生まれたのではないか。UNLIMITSの姿に魅入られながら、自分の中で点と点を線で繋げたとき、この素晴らしい情景が描かれていることの必然性というか、すべてが腑に落ちたような気がして、思わず目頭が熱くなってしまったのだ。

近い将来、バンドの歴史を振り返ったとき、間違いなくターニングポイントのひとつとして語られるであろうライヴが収められた今作。映像という形で追体験してもやはり感動的であった。

加えて、ツアーファイナルではあるが、いちばん強く心に残るのは何かを締め括ったという感覚ではなく、またここから始まるんだろうなという期待と可能性。清水の「まだまだみんなと一緒に観たい景色があるし、連れて行きたい場所もたくさんたくさんあるから」という言葉に嘘偽りはないだろう。素直にそう信じられるモノがここにある。

Reviewer by ヤコウリュウジ

フォーマットが固定されて飽和し切っていた2000年代初頭のメロディックパンクに昭和歌謡のエッセンスを持ち込み、なおかつ女性ヴォーカルであるという個性でもってセンセーショナルに登場した当初から、「メロディックパンクであること」よりも「自分達の信じたメロディ・歌をどれだけ純度高く飛ばせるか」をひたすら大事にし続けてきたバンドだ。内省や葛藤を振り切るようにマイナーコードで疾走していた頃も、メジャー在籍時代に音楽的な要素を一気に広げ、次第にパンクのフォーマットに括られないポップネスを湛えた楽曲を生んで明確に勝負に出ていった頃も、そしてJun Gray RecordsとPIZZA OF DEATHに出会い、原点回帰を掲げて『アメジスト』を生み出した今も、歌とメロディに懸ける信念がど真ん中にあって、まったくブレていない。そして、そのシンプルな本質を貫こうとするが故、作品ごとに変化し続けてきたバンドなのだ。『アメジスト』の楽曲に加えて過去作品の代表曲も多く織り交ぜられたこのライヴ全体からは、そういう「UNLIMITSの一本筋」がまずクッキリと浮かび上がってくる。

音の中で4人の視線がバッチリと合っているアンサンブルが目の前の人に向かって迷いなくストレートに放たれ、UNLIMITSの熱を受け取ったオーディエンスは真っ向からステージに声と拳と体をぶつけて呼応し、それに突き動かされてバンドはさらに昂ぶり、より直情的で爆発力のあるアンサンブルを聴かせていく――その循環から生まれる熱のカタマリがひたすら巨大化し続けていくようなライヴである。とてもシンプルだけど、ライヴハウスという空間だけが生み出せる幸福な空気が、4人の表情を丁寧に切り取る映像・音の端々からダダ漏れている。ライヴ映像の途中に挿入される4人のインタヴューで各々が音楽の原点と初期衝動まで遡っている部分も、無垢な衝動に身を任せて疾駆するライヴと重なり、キラキラとしていて、とてもいい。

そして、「これまでたくさんの曲を作ってきたけれど、いつだって気持ちに正直に嘘偽りなく歌ってきたし、過去の歌もすべて愛している」「どんなに辛くて雨降りの日があっても、止まない雨はないんだ」という、バンドのこれまでの道程を感じさせる清水のMCから雪崩れ込んだ“カスケード”からが、ひたすら素晴らしい。特に、清水の声の柔らかさと温かさが聴く人に向かってさらに解き放たれ、歌がより一層裸になっていくさまを観て、「このバンドは、自分達の音楽、そしてそれを愛してくれる人達を心から信じられるようになったんだな」と感じた。清水のMCにもあるように、これまでもきっと彼女達の音楽に嘘や偽りはなかったのだろうし、ライヴの一本一本にすべてを懸けていく姿勢も、オーディエンスに対して真摯に向き合う気持ちも、昔からまったく変わってはいないだろう。ただ、ひとつだけ変わったことがあるとすれば、聴く人に向かって自分達を曝け出していくことが、ようやく「すべきこと」ではなく「やりたいこと」になったのが今なんだと思う。言葉にすれば少しの違いだけれど、この作品に満ちている幸福感と強いカタルシスは、その少しの違いから生まれたものだと思うのだ。メジャーを離れた後にバンドが止まりそうになった時のことも、清水はこの日のMCで話している。それでも彼女達が歩みを止めなかったのは、きっと、この作品に収められているようなライヴを誰よりも望んでいたのは彼女達自身だったからなんだろう。

Reviewer by MUSICA 矢島大地

ん? おっ? えっ? このツアーでUNLIMITSに何があったの!? 見進めるほどに、画面に向かってツッコミたくなる。それくらい、今のUNLIMITSが絶好調であることが伝わってくる一枚だ。中心となっているツアーファイナルの渋谷クラブクアトロのワンマンライヴのメンバーは、心からバンドが、音楽が楽しい!と言わんばかりの躍動感と笑顔に満ちている。アネゴ的なオラオラ感を増した清水葉子のステージングも、自信が溢れていて気持ちいい。時にダークに、時にポップに、周囲から突き抜けようと気張っていた過去の彼らも愛おしかったけれど、ナチュラルな今の彼らの方が、実は突き抜けた存在感を誇っていると思う。また、自身も“アンリミ節”と表現するほど、音楽性が確立されている彼らだけれど、ワンマンを通して見てみると、こんなにもヴァリエーション豊かな楽曲を生み出してきたのか!と驚かされる。フロアのリアクションも素直で、激しいモッシュやピースフルなハンドクラップが起きたかと思えば、しんみりと聴き入る場面も見られ、彼らが楽しみ上手なオーディエンスに恵まれたのだなあと感慨深い。

改めて、こんな唯一無二のバンドが、続いている奇跡に感謝せずにはいられない。紆余曲折を経て、Jun Gray Recordsという再出発の場所に巡り合い、『アメジスト』をリリース、そしてツアーを廻ったことで、彼らはポッと出のバンドには立てない高いネクスト・ステージに立った。オーヴァーグラウンドでもアンダーグラウンドでもない、音楽シーンという広大なフィールドの上で。あらゆるしがらみから解き放たれた彼らは、無限の(彼ら流に言えば夢幻の?)可能性を持っていると思う。これから、キャリアが長いというだけではなく、キャラクター的にも音楽的にも、ガールズヴォーカルのシーンを引っ張っていく存在になって欲しいという期待を寄せてしまう。

挟み込まれたオフショットやインタヴューも、シリアスからユーモアまで縦横無尽に行き交うエンターテインメントぶり。意外にもDVDは初めてのリリースとなる彼ら。素顔はこんなにもチャーミングであることを、知らない人も多いかもしれない。もしかして、彼らも曝け出すことを避けていたのかもしれない。でも、ここぞというタイミングの今作で、素顔の大盤振る舞いが見られるのだから、待った甲斐があるというものだ。この極端さも彼ららしい。

生のライヴでも、CDでも感じられない、DVDだから表現出来るUNLIMITSの輝きが、零れんばかりに詰まっている今作。ポジティヴなエネルギーを、シャワーのように浴びまくって欲しい。

Reviewer by 高橋 美穂